導入前の課題
『こんなのできない』リアルタイムでのアルコールチェックに四苦八苦
ハイテク化する現代の生活は、半導体に支えられていると言っても過言ではありません。そんな半導体の製造装置は超精密であり、その精度を維持するには「高度な技術と知識を身につけたエンジニアによるメンテナンス」が欠かせないのです。
ニコンテック様は、ニコン製の半導体製造装置をメンテナンスする“フィールドエンジニア”が数多く在籍しています。お客様先の工場のクリーンルーム内にある半導体製造装置へ足を運び、修理や移設などを行っているのです。
フィールドエンジニアの勤務状況について、サービス営業課の木村様は次のように説明してくださいました。「通常業務は9時から18時ですが、なにかトラブルがあれば時間をずらして出動しなければなりません。障害が大きければ夜も遅くなりますし、休日出勤もあるような状況です」
全国で6つある拠点からお客様先の工場に行くわけですが、首都圏以外では個人の車を「準社用車」として使用しており、また、レンタカーを使うケースもあると言います。
そんななか、2022年4月1日より改正道路交通法施行規則が施行され、社内の安全運転管理者に対して、 運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。
総務課の橋本様は、当時の状況をこう語ります。「準社用車など社内で扱う車の台数も多いので、すぐに『アルコールチェックをどうしようか』という話になりました。結果、目視での確認が必要なので携帯電話で自分の写真を撮ってもらい、それをメールで送ってもらおう、と」
フィールドエンジニアが撮った顔写真を総務課宛てに送ってもらい、総務課はフォルダに保管。さらに『台帳』を作り、車両番号や訪問先、アルコール摂取の有無などを記入してもらうような形にしたのです。
しかし、これが大きな波紋を呼ぶことになりました。「フィールドエンジニアから『こんなのできない』とクレームが入りました。日々の業務も不規則だし、急いでお客様のところに行かなきゃいけないのに負担が大きい、というわけです」と橋本様は当時を振り返りながら眉間に皺を寄せます。
批判を受けながらも何とか進めていましたが、『負担は管理側にも及んでいた』と橋本様は続けます。「フィールドエンジニアは夜間や早朝に車を使うこともあるため、点呼が難しかったんです。管理側もリアルタイムのチェックに四苦八苦していて……。チェックが漏れて事故を起こしたらどうなっちゃうんだろう、と不安でした」
夜間や早朝、土日祝日も含めたリアルタイムの目視確認が可能な運用体制を早急に整えていかなければならない状況だったようです。
取り組み内容
アプリとコールセンターにより、瞬時にチェック可能に
2023年12月1日、さらに法改正が行われ『目視での酒気帯び確認』に加えて『アルコール検知器による確認』も義務付けられることが決定しました。そのような情勢を受け、橋本様は動き出します。
「さらなる法改正に備えて、ちゃんとしたアルコールチェックをしなければいけないなと。ただ、『自社だけでは難しい』と思いましたので、『アルコールチェック代行』というキーワードで検索して探していったんです」
業者を選定していく経緯について、同じ総務課の岩下様は次のように詳しく説明してくださいました。
「社員からは写真を撮ることすら嫌がっていましたので、とにかく簡単にしなければいけない。そのためには『アプリ』じゃないとダメでした。ただ、大手の企業でも『Excelを使った管理です』というところがあって、それだと難しいなと」
最終的に“アプリでの運用ができる企業”として2社が残りましたが、最後の決め手について橋本様は「やはり、名も通っていてセキュリティも含めた信用面がしっかりしているパーソルビジネスプロセスデザインに決めました。長く続けていくものですから、そこを重視しましたね」と語ります。
さらに、「アプリ側も我々の使い勝手に合わせてバージョンアップをしてくれるということなので、そういった使いやすさの面でも長くお付き合いできそうだな、と感じました」と続けてくださいました。
実際の使用感について岩下様は「アルコール検知器にフーっと息をかけると、データがそのままパーソルビジネスプロセスデザイン側に飛んでいって、総務課にも共有される。そして、リアルタイムで同時に見られるという仕組みがすごく良かったです」と口にしました。
一方、窓口はニコンテック様専用というわけではなく、多くの企業のアルコールチェックを受け付けるシェア型のコールセンターであるため、運用費もそこまで高くはならずに済んだのです。
そうして、2023年12月の法改正のタイミングで、アルコールチェック委託サービスが稼働することになりました。
導入の効果
簡単で満足。「我々は安心して通常業務をすることができる」
フィールドエンジニアからのアルコールチェック依頼について、件数としては初月には900件、業務が落ち着いてくると月に700~800件の対応を実施していくことになりました。
この状況について木村様は「だいぶ業務負荷が減りました。しっかり数値で定量的に管理できますし、管理の手順も簡単ですので大変助かります」と笑顔を見せてくださいました。
続いて『総務の視点』としての感想を岩下様に伺うと、「私はやっぱり管理側として会社全体を見ていますので、アルコールチェック自体の動きを一括で見られるというのが大きいですね。それに、代行の皆様がしっかりやってくれるという安心感もあります」と表情を緩めます。
さらに橋本様は「フィールドエンジニアからのクレームがなくなりました。違和感のあるやり取りがあったとしても個別にしっかり対応いただいているので信頼できますし、本当に『やって良かった』に尽きます」と安堵の表情を浮かべました。
また、「意識の高まり」についても木村様が言及されました。「アルコールチェッカーを常に持つようになりましたので、以前のように顔写真を撮るだけよりも意識が高まりましたね。『面倒くさい』とか『こんなのできない』というクレームがなくなったというのも、意識の高まりの表れなんじゃないかと思います」
そこには、やはり“シンプルな操作性”が貢献しているといい、「簡単じゃないと続きませんので、簡単に使えるというところが一番大きいかな」と続けて口にされました。
基本的な機能については申し分なく、あとは今後、さらにカスタマイズしてもらって現在よりもさらに使いやすくなっていくことを望んでいると口々に話すニコンテックの皆様。最後にパーソルビジネスプロセスデザインへ「何か一言お願いできますか」と聞くと、木村様は次のように答えました。
「早朝や深夜に大変だと思うんですが、しっかりサポートしていただけるので、我々は安心して通常業務に従事することができています。いつもありがとうございます」
また、『早朝や深夜への対応』については岩下様も「絶対的にそこはお願いしてよかった部分ですね」と答え、橋本様も頷きながら「昼夜問わず、嫌な顔をせず、優しく対応してくださって本当にありがたいです。今後も継続してよろしくお願いします」と笑顔で口にされました。
お客様プロフィール
株式会社ニコンテック
日本の光学機器メーカー『ニコン』のグループ会社であるニコンテック様は、ニコンが製造する液晶露光装置、半導体製造装置の保守、メンテナンスを主とするアフターサービスを行っています。1987年5月に日本光学工業株式会社(現・ニコン)精機事業部の精機サービス部を分離独立させ、設立されました。ニコンが製造する装置の技術サービスは、現在ニコンテック様が全て行っています。
会社名 | 株式会社ニコンテック |
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本社所在地 | 東京都品川区勝島一丁目5番21号 東神ビル6・7F |
設立 | 1987年5月11日 |
代表者 | 代表取締役兼社長執行役員 広瀬 輝彦 |
従業員数 | 284名(2023年7月現在) |
担当者コメント
ニコンテック様と同様にアルコールチェックサービス導入の際にどのお客様も課題になっているのは、早朝深夜の対応と現場の負担軽減でした。我々はコールセンターをシェアード体制で運営することで、24時間対応可能なサービスを提供し、早朝や深夜のチェックもスムーズに行えるようにしています。また、運転手様の負担を軽減するために、管理アプリを使用することで、業務の効率化や厳格性を図っています。今回の導入により、お客様から「お願いしてよかった」とのお言葉をいただき、大変嬉しく思います。今後もお客様のニーズに応え、さらなるサービス向上を目指してまいります。掲載内容は取材当時の情報です。