シェアード会社/B社(化学関連グループ)

シェアード×BPOで『拠点を超えた相互フォロー』と改善サイクルを実現!

シェアード会社/B社(化学関連グループ)

業種
素材・マテリアル
導入部署・部門
総務部

Before

・マニュアル整備が追い付かずメンバーが固定化され属人的な運用だった(E事業所)
・部門ごとの共通業務を集約したが、ルールは変更できず非効率であった(Y事業所)
・2拠点で同じ業務を行っていたが、交流がなかった(両事業所)

After

・BPO導入で属人化を解消し、改善サイクルを回せるように(E事業所)
・ルールや手順の標準化を実現し、生産性が向上(Y事業所)
・『合同報告会』など2拠点の交流が増え、相互フォロー体制が実現(両事務所)

目次

    メンバー固定化、属人化を解消するためにBPO導入へ(E事業所)

    ※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。

    化学関連グループ企業各社のシェアードサービスを担っているB社。同社が運用する『総務・庶務』業務の一部を、BPOベンダーとしてパーソルテンプスタッフがご支援中です。従業員5,000名超のグループにおけるシェアード会社がどのようにBPOを活用されているか、本記事では二つの事業所での事例をご紹介します。【事業所:E事業所、Y事業所】

    体制図

    【E事業所編】

    E駅からバスに揺られて15分、のどかな風景の中に現れたE事業所。ここでは、F社の主力事業である複合機やプリンターの開発・生産をしています。事業所の『総務・庶務』業務は、シェアードB社が担っており、正社員や契約社員、派遣スタッフを含め10名ほどで従事していました。繁忙期は組織変更で業務が集中する4月と10月。異動に伴って名刺やデート印の発注、社内メールボックス変更手続き、通勤経路の変更手続きなどの依頼が増えます。日々の業務量が読めない中、業務に携わるメンバーは残業などで対応する毎日を送っていました。当時を振り返り、O様は語ります。

    O様「繁忙期は『気合いと根性で、どうにかする!』という雰囲気もあったと思います。誰も欠けることができない、いつかマニュアル整備したいと思いつつ、できない。そんな葛藤が当時あったと思いますね。」

    O様
    E事業所:O様

    マニュアル整備が追い付かない中、メンバーは固定化、業務は属人化していきました。属人化の状態では、業務の継続性と効率化は望めません。そこで事態を打開すべくBPO導入の検討を開始。数社からの提案を受けた中、パーソルテンプスタッフを選定いただきました。E事業所には、パーソルテンプスタッフの派遣スタッフが多く従事しており、事業所や業務内容を熟知していたことが強みとして評価されました。まずはBPO化に向けて、現在行っている業務のどこを委託し、どこをシェアードB社に残すかなど委託範囲の切り分けから始めます。また正社員・契約社員など直接雇用の方から業務を引き継ぐためには、外部事業者に対しての新たな承認フローの構築、システム権限付与など新たなルール設定が必要になりました。

    F様「BPOチームへのシステム権限付与やアカウントの区別など、外部事業者の方とうまくお付き合いするためのルールが設定しきれていなかったこともあって、最初はいろいろと整理が必要そうでしたね」

    O様、F様
    E事業所:F様(右)

    新しいルール設定、業務の標準化を行いながら、体制を構築。これまでの派遣スタッフも、引き続きチームの一員としてE事業所で就業できるようになり、業務委託が無事にスタートしました。ちなみに地域性が強い土地柄もあり、継続してE事業所で働きたいという方が多くいます。また新しく採用した方の中には、以前にこの事業所で働いた経験がある方もいます。2~3年働いて、他の部署へ異動することで、自然と事業所の業務と企業理解が深まっていきます。

    属人化の解消だけでなく改善サイクルを回すことで運用規模を拡大(E事業所)

    BPOを導入したE事業所は、2013年に委託開始してから10年が経過し、当初よりも多くの業務をお任せいただくようになりました。そこで現在では、委託チームの体制を「債権・債務の処理および庶務業務(以降、債権・債務チーム)」と「従業員向けのコンシェルジュ(以降、コンシェルジュチーム)」の2チームに分けて、それぞれ4人ずつ計8名で業務にあたっています。

    「債権・債務チーム」では、各種入金・支払い処理、部門付替えなどを中心に庶務業務も担当。部門ごとの共通業務を集約した「部門サービス」をはじめ、カタログ購買、レンタル植木管理、社用車管理、駐車場利用管理、厚生庶務、タクシーチケット管理、ホームページ管理、カレンダー発注など幅広く対応しています。年2回ある中元・歳暮業務は、宛先・住所の確認から注文数のとりまとめ、発注支払い処理を行っています。

    「コンシェルジュチーム」は、窓口に直接いらっしゃる従業員に対応します。窓口では対面で行う必要がある業務、拾得物対応、備品貸出管理、ロッカー室管理、IDカード発行などがあります。また各種申請は、掲示許可、撮影許可、終夜運転などを受け付けています。

    属人化の解消だけでなく改善サイクルを回すことで運用規模を拡大(E事業所)

    少し変わった業務として、社内放送業務も行っています。従業員へのお知らせを電話交換室より放送。聴覚障害者の従業員へは、同じ内容をメールでお知らせします。また年1回の業務として小学校・中学校の体験学習の受け入れ支援があります。日程調整、会場確保、警備長や食堂への当日対応依頼、体験学習当日のサポート、体験時の写真発送、ホームページ掲載まで幅広く支援をいたします。

    このように受託した業務の運用状況に関して、シェアードB社へ週次・月次で報告。改善事例の報告では、1業務あたりどれくらい工数が減ったか、改善手法を交えて報告します。工数減で空いた時間は、新たな業務の追加を協議。このように改善→工数削減→業務追加のサイクルを繰り返して、受託業務を広げていきました。業務委託を導入して得られた効果について、シェアードB社に感想を伺いました。

    F様「もともと課題としてあった属人化という部分は、アウトソーシングすることで手順が整理されたでしょうし、可視化もされたので、誰がやっても同じ業務ができるようになって、業務品質の均一化という効果は出たと思います。またパーソルテンプスタッフさんお仕事も早いですし、長い期間(業務を)やって下さって、助かります。電話やメールも親切で、信頼していますね。事業所の社員からも、『担当者さんには何でも相談できる』と聞いています」

    O様「パーソルテンプスタッフさんと一緒に業務をしてきて、紆余曲折ありましたが今となっては『欠かせないパートナー』だと思っています。今後もさまざまな業務をBPO化して、業務の効率化やIT化など進めていきたいですね。Y事業所との合同報告会からもシナジーが生まれやすく、ひとつの拠点に集約できそうな業務もさらに探っていきたいです。」

    O様、F様

    ご感想にもあるように、新たに別事業所の「部門サービス業務」も任され、2019年より受託が開始します。続いては、その「Y事業所」での委託についてご紹介します。

    「部門サービス」の効率化を考え集約したが、ルール変更できず属人化(Y事業所)

    【Y事業所編】

    Y駅より徒歩13分ほど、東京湾を臨むベイサイドに構える「Y事業所」。F社の22本部、100部門が入居する中、約5,600名が就業中です。プリント事業、ネットワーク事業などさまざまな部門の社員が、本来の業務に集中できるように、シェアードB社が間接業務を巻き取る形で受託。その中でも「部門サービス」と呼ばれる庶務業務を、2019年からパーソルテンプスタッフが受託しました。

    「部門サービス」で扱っている業務は、もともと各部門にいた庶務担当が、それぞれの部門で行っていた業務です。その部門ごとの業務を切り出し総務部門に集めて、1人1部門ではなく、複数の部門を担当してまとめて行うという流れで始まったのが「部門サービス」になります。

    具体的な業務として、名刺・デート印の手配があります。これはE事業所と同じく組織変更の4月と10月が繁忙になり、部門の名前が変わると場合によっては、数千人の名刺を作らなければなりません。組織の変更情報は、直前にならないと分からないので、そのための増員計画は立てることができず、各部門担当者が、残業を行うことで対応をしていました。一方、2月などは閑散期になり、就業時間にも関わらず暇を持て余すことも…。その他にもカレンダーの手配や文房具の発注・管理、旅費精算、IDカード発行、防災関連だと防災リスト・フロア案内の更新、ヘルメット顎紐(あごひも)交換などを行っています。

    「部門サービス」の効率化を考え集約したが、ルール変更できず属人化(Y事業所)

    シェアードB社が運用開始した当初は、有期の契約社員7名でスタート。各部門から切り出される前の「部門ごとのルール」を変えずに始めています。例えば、同じ名刺を作る業務でも、ある開発部門では、記載したい事項に関して名刺を作成したい社員自らが書いて庶務担当に提出しますが、こちらの営業部門では、「営業の方に事務作業は一切やらせない」という考えのもと、記載したい事項を庶務担当がヒアリングを行います。このようにさまざまな業務に対して、運用ルールが複数存在していました。

    運用体制は、部門ごとに担当を振り分けます。担当に割り振られたメンバーは、他部門のルールは分からない状態で、属人的な運用を行っていました。また有期の契約社員であったため、契約満了になると交代要員が来て、前任者が教育し引き継いでいきます。メンバー同士で共有する機会もほとんど無かったため、担当する部門の業務は、次の担当者へ引き継がれていくというスタイルが脈々と続いていきました。

    こうした状態にシェアードB社は、継続性へのリスク、効率化の観点からも課題を感じていました。まずは手順を共有して、効率的な方法を考えようという動きが生まれます。その結果、地道でありますが少しずつ改善し、7人で始まった体制も2018年の段階では5人まで減らすことに成功。この時は、正社員1名がリーダーとして加わり、契約社員1名、派遣スタッフ3名で行っていました。しかしメンバーの工夫だけではどうにもならない部分もあり、効率化の限界が出てきました。リーダーとして携わっていたT様は当時を振り返ります。

    T様「このままではいけないなと思い、メンバー同士で業務を共有する機会を設けて、標準化しようと試みました。でも、昔から業務を担当していたメンバーにやり方の変更をお願いするのは、正直なかなか難しかったですね…。そもそも部門からの依頼方法を変えなくてはいけない部分もあり、限界を感じていました。」

    T様
    T様

    そんな時、E事業所で総務・庶務のBPO化が先行して始まっていたことを知ります。

    2拠点の共通性を活かしたBPO導入で標準化を実現し、属人化を解消(Y事業所)

    当時のE事業所の委託体制は3名。E事業所の規模が小さいことも課題として感じていたシェアードB社は、両事業所の「部門サービス」を合わせて大きくしていくという目的もあり、Y事業所へのBPO導入が決まります。またY事業所の部門サービスで従事していた派遣スタッフの方は、ほとんどがパーソルテンプスタッフの方だったので、継続してメンバーにジョインして頂きました。

    Y事業所へのBPO導入後、委託チームのリーダーが中心となって業務フローや手順書を整備していきました。部門サービスとしては、両事業所ではほとんど同じ業務をしているので、それぞれに手順書を作成する必要はなく、どちらかが作ったものをシェアできることが大きなポイントです。部門ごとのルール、担当者ごとの手順で属人的に行っていた運用を、標準的な方法に変更することで、さらなる効率化が実現。結果としてこれまでの5名から4名体制になり、1人で担当可能な業務が増え、生産性が向上しました。

    T様「BPOによって運用フローを変えていただけたのは、本当に助かりました。自社で既存のやり方を見直していくよりも、第三者に入っていただいた方が、結果的に全員が変更に納得しやすかったのかもしれません。部門サービスの業務を、シェアードB社で持ち続けるのが本当に大変だったので、手が離れただけでもとても有難かったです。」

    BPO導入で交流が生まれ、ロケーションの垣根を越えて相互フォロー(両事業所)

    ロケーションの違いもあって、これまではE事業所とY事業所のメンバー交流は多くありませんでした。そんな中、シェアードB社の人事異動で両事業所のグループ長が兼任。「同時に報告を受けたい」というリクエストもあり『合同報告会』が始まります。また週次のミーティングも合同で行われるようになり、情報共有の場、交流の場が増えてきました。

    こうした情報連携が、互いの事業所に良い作用を生み始めました。たとえば「カレンダー発注」業務はどちらの事業所でも同じ作業が発生します。『それであれば、ひとつの事業所で行うことが効率的ではないか』と、ひとつの事業所へ集約。またY事業所が忙しいときは、E事業所で代わりに業務を行うなど、相互フォローの関係も構築できました。

    O様「他事業所の細かい情報共有が受けられることで、E事業所でやっているのに、Y事業所ではなんでやってないのだろう?と気づきのきっかけになっています。E事業所でやっていることを参考にしたり、片方の事業所で業務を集約することしたり、事業所の垣根を越えて柔軟に動けている実感がありますね。」

    T様「手順書や業務フォローなど、二つの拠点で共有できるようになり助かりました。委託することで結果的に私たち社内の交流が増えて、仕事がはかどった印象です。」

    O様
    Y事業所:O様(右)

    シェアード会社としての挑戦を続けるシェアードB社は、現在は新たに委託できる業務の吸い上げを始めている最中とのこと。最後にY様はこのように締めくくられました。

    Y様「部門の方が本来の業務に注力いただけるように、両事業所の全体業務量を見直しながら、現場業務をさらにどうやって吸い上げていくか?パーソルテンプスタッフさんと相談しながら検討を始めています。その中で私たちからパーソルテンプスタッフさんへ、新しい業務をもっと出したいし、引き受けていただきたいと考えています。ただ簡単に引き受けていただけない難しいところもありますので、それをどうしていくか?そのあたりを同じ土俵の中で一緒に考えられるといいなと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。」

    Y様
    Y事業所:Y様

    担当者コメント

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    東日本スマートワークサービス部
    スマートワーク運用二課 ユニット長
    馬飼野 修

    お客さまの課題・ニーズに応えるべく、東日本スマートワークサービス部の『総務・庶務に特化した知見・経験』を活かして、常日頃からQCDの観点で解決・改善を心がけてまいりました。 綿密なコミュニケーションを重ね、お客さまと協働意識・相互理解が醸成されましたことも大きな価値と考えます。 複数のシェアード事業所を展開するお客さまから信頼されるベストパートナーを目指し、これからもPJT現場を支えてくれている皆と共に成長してまいります。

    馬飼野 修

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    東日本スマートワークサービス部
    スマートワーク運用二課 プロジェクトリーダー
    大木 恵

    「はたらいて、笑おう。」が弊社の使命です。 BPOにおいてもクライアントのご担当者様をはじめとする従業員様と弊社スタッフが笑顔ではたらく組織を念頭に、日頃から業務効率化を行っています。 両社の目標・課題を共有し一緒に対策を講じられる環境が整い、より価値あるBPOの創出に取り組めることに感謝しています。

    大木 恵

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    東日本スマートワークサービス部
    スマートワーク運用二課 プロジェクトリーダー
    草地 麗

    「同じルール・同じ手順・同じ質で皆が処理できる」が、PJT現場での共通認識(合言葉)になっています。 業務の属人化やミスの潜在化を防ぐために各業務を2名以上で担当し、対面業務は全員が習得。図解入り手順をパウチして、カウンターへ配置している業務もあります。 複数名で業務を行うと潜在化していた課題に気付きやすく、事業所同士での業務協力も相まって『効率化やリスク軽減』も精力的に進めています。

    草地 麗

    パーソルテンプスタッフのBPOは、皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしています。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。

    本記事のPDF資料

    今回取材させていただいたお客さまへのBPO導入事例を、PDF資料として配布しています。(個人情報の入力は不要です)

    事例の資料はこちら [0.5MB]

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