人員への教育負担や繁忙期への対応により、残業過多に
※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。
食品・酒類の総合卸売業として300年以上の歴史を有する国分中部株式会社様。「エリアカンパニー」として東海四県と北陸三県を商圏として定め、各地域の風習や食文化に寄り添ったエリアマーケティングを行っています。
国分グループは、卸売業だけでなくオリジナルブランドも手掛けており、『K&K』ブランドで展開する缶詰めの『缶つま』や『“CAN”Pの達人』などは人気商品であり、全国のコンビニエンスストアでも展開されているほど。
そんな国分中部株式会社様の「名古屋業務センター」には、お得意先からの注文を受ける営業業務課と、仕入先への発注と在庫管理をする販売業務課があります。いずれもコアな業務のため、50名以上の社員の皆さまが運用しており、そこに派遣スタッフやパートタイマーが25名ほど加わっている構成でした。
しかし、最も多い派遣スタッフの活用については課題があったようで、販売業務課長の山﨑様は次のように振り返りました。「例えばお子さまのご出産で産休に入られたり、急な体調不良でお休みになったり、突発的な欠員はどうしてもあります。その際は、すべて社員で吸収する必要がありました」
国分中部株式会社
名古屋業務センター
販売業務課長 山﨑様
派遣会社も5社と契約をしていたと言いますが、その理由について営業業務課長の平田様は次のように言います。「スタッフの方のご都合で急な離職などがあった場合に、1社だけだと人員がすぐに集まらない可能性もあります。それで5社に声を掛けさせていただいて、迅速に人員を確保していただく、という方法をとっていました」
国分中部株式会社
名古屋業務センター
営業業務課長 平田様
人員の確保だけでなく、教育の面でも課題はありました。新しい派遣スタッフには、一から業務を教える必要があります。簡単な業務ではないため教育には時間が掛かってしまいました。山﨑様は厳しい表情で語ります。
「教育担当も自分の仕事の合間に教える必要がありますので、時間も掛かってしまうし、拘束されてパワーも掛かってしまうので大変でした」
社員の皆さまは新人の派遣スタッフに教えた後でようやく自分の時間を持てるようになるため、構造的に「残業が増えてしまう」という弊害も生まれたのです。
そもそも国分中部株式会社様は卸売業であるため、基本的に世間がお休みの時ほどお得意先は忙しい状態になります。一方で、商品の仕入先はカレンダー通りのお休みであるため、大型連休の前になると「仕入先が稼働しているうちに準備をしなければ!」と忙しくなってしまう構造なのです。
そういった繁忙期には、どうしても派遣スタッフやパートタイマーでは対応しきれず、社員の皆さまが遅くまで残って業務せざるを得なかったのでした。
「派遣から業務委託に切り替える」前提で導入へ
“繁忙期になったら社員が長時間はたらいて何とかする”というのは社内でも課題として感じられていたようですが、具体的な解決策が無かったと言います。平田様は当時の胸の内を次のように明かします。
「当社の仕事は専門性が高いので、短期間で人員を増やせないという悩みがありました。それに、派遣スタッフを増やすと『閑散期は人員過多になってしまう』という新たな課題が発生してしまいます」
しかし、ある日パーソルテンプスタッフの営業から『業務委託』について情報提供をしたところ価値を感じていただき、役員の方を交えてお話をさせていただくことに。平田様はその時の状況を次のように語ります。
「当社では以前から『どうすれば効率化できるか』と考えて“社内”に注力していましたが、『アウトソーシング』という“外部委託”の方法もある、というのを教えていただいて。それで『ちょっと説明を聞いてみようか』と聞いてみたところ、『これは上手くできそうなのでは』とつながっていきました」
しかし、サービスを導入してすぐに上手くいったわけではありません。そこから業務委託できるまでには、半年以上の時間を必要としました。まずは日常業務のなかから「委託できるもの」を切り分ける必要があります。
そこで、まず業務委託化を前提にパーソルテンプスタッフから5名のスタッフを派遣契約させていただきました。その5名はお客さまから直接教育をうけ「業務を習得しながらも業務委託の準備をする」という動きをしていきました。そして委託できる業務の判断をしたり打ち合わせを重ねたりしながら、業務委託化に向けて準備を重ねていったのです。
この点について、平田様は次のようにコメントをしてくださいました。「契約を結んだ後のパフォーマンスは始めてみないと分からない部分もあり、企業としては正直『リスク』と言えます。ただ、派遣から入って業務委託に切り替える形でできたのは、お互いに合意できるので非常に良かったですね」
そうして半年掛けて準備を進め、業務委託化することになったのです。
マニュアル整備の徹底と、Access・RPAの活用により工数を削減
該当の部署では52項目の業務を実施していましたが、そのうち最初に委託化できたのは17項目でした。しっかりとマニュアルを整備し、難しい判断を必要としない17項目から業務委託をスタートしたのです。
この“マニュアルの整備”について、山﨑様は次のように語ります。「もともと当社は業務内容の共有を個人ごとがそれぞれで行っていたため、統一したマニュアルがありませんでした。今回の業務委託を機にマニュアルを整備したことで、自分たちの業務を客観的に見るきっかけになったのは大きかったですね」
また、平田様も同様にマニュアルについてコメントしてくださいました。「卸売業は、仕事が多岐にわたるので、属人化している業務は結構あります。なので、業務委託を機に統一したマニュアルとして整備することで業務の見直しにもつながって、効率化された状態で渡すことができたのはメリットでした」
平田様が言うように、マニュアルを整備したことで業務が見直され、無駄な仕事が減ることにもなり、時間の余裕ができるようになりました。それにより「次はこの仕事のマニュアルを整えよう」と動くような、良い循環が生まれていったのです。
さらに、マニュアルの整備だけでなく、パーソルテンプスタッフの業務委託チームでも生産性を上げるための工夫を続けていきました。「業務構築リーダー」とは別に「業務改善リーダー」を立て、その「業務改善リーダー」を中心に業務を分解してマクロを組んだりAccessやRPAを設計したりして、工数を圧縮させていったのです。
それによって空き時間を捻出すると、さらに委託可能な業務を増やしていき、社員の皆さまの負担を軽減させていくことにつなげていきました。
作業効率が社員より35%上昇し、人員は半分に削減
業務委託を開始して2年が経過すると、大きな変化を遂げました。
もともと社員以外では派遣スタッフが中心の構成だったので、パーソルテンプスタッフの業務委託チームに変わった効果の目安として「現状の業務を派遣スタッフのままやっていたら何名分になるか」という数字を算出していました。
その計算によれば、現在「派遣スタッフ19名分の仕事を、業務委託10.3名で遂行している」ということになったのです。この“人員を半分に削減できた”という数値結果について、平田様は次のように付け加えます。
「半分に削減できたことも大変素晴らしいのですが、『教育の負担』にも注目していまして。仮に派遣スタッフ19名を入れていたら、私たちが19名全員に教育する必要があったのですが、それが今はゼロなんです。この点も相当大きいと思います」
世間がお休みの時ほどお得意先である小売店が忙しい状態になるため、土曜日も“当番”を設けて出勤していた国分中部様ですが、その体制も変わったようです。
土曜日に行っていた業務も業務委託化させることができ、当番として出勤する社員を減らすことができたのです。山﨑様も「休日当番が減ったのは嬉しいよねっていう声は社内でも聞かれます」と頬を緩めました。
また、平日についても従来は固定の派遣スタッフを雇用していたため繁閑の差を吸収できずにいましたが、パーソルテンプスタッフでは業務委託のチーム内で曜日に合わせて人員をシフト。状況に応じて増減可能な人員と、業務委託チームの教育による質の高いチーム体制を実現したのです。
さらに、業務委託チームを編成したことにより、一つひとつの業務効率が上昇することになりました。実際に効率化の目安として業務のスピードを計測していますが、その結果について平田様はこう説明してくださいました。
「ある一つの業務で測ったのですが、社員だと途中で電話やメールが来たり、声を掛けられたりして、どうしても仕事が中断してしまいます。この点、パーソルテンプスタッフに任せたら集中して取り組んでくれますし、マクロやRPAの成果もあって同じ業務でも作業効率が社員より35%も上昇したんです」
今後の展望についてお伺いすると平田様は「今回、成功事例ができたので、国分中部としては全国の各エリアのグループ企業に紹介していくことを考えています。引き続きパーソルテンプスタッフの皆さんにはご協力いただきたいですね」と笑顔を見せてくださいました。
山﨑様も同様に「今後、委託に出せる業務と社内でやるべき業務を見極める『要件定義をする能力』が必要になってきますので、社内的にもそういった能力を持つ人材を育てていきたいなと思っています」と前向きに語ってくださいました。
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
中部BPOサービス部
ユニット長
加藤 泰善
ご紹介いただいている生産性向上や工数削減の数字、社内でも部長から「本当なの?」と言われましたが本当です。この成果はクライアントと我々が同じ方向を向いて、2年間かけて切磋琢磨した結果です。厳しいご要望を頂く半面、成果を出すためのご協力も惜しみなくいただいており、感謝しながら良い汗をかいております。
中部BPOサービス部
プロジェクトリーダー
市川 亜由美
パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。