属人化していた経費処理に、BPOの導入を検討
※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。
——2013年6月から経費処理にBPOを導入されていますが、どのような経緯からでしょうか。
辻本様:私が異動してきた2011年当時、経費処理は8人ほどの派遣スタッフが担当していました。ところが、業務の進め方を見たときに、「継続性」という点で不安を感じました。
中外製薬株式会社
臨床開発業務部
部長
辻本真一様
——それは 具体的に、どのような不安でしょう?
辻本様:まず、派遣スタッフの方によって、仕事の方法が異なることがありました。私たちの部署から請求書などを受け取る側も、スタッフによって異なる対応をされたら戸惑うでしょうし、効率も悪くなります。どうにかして対応を統一化したいと思いました。
——属人化していた業務の“標準化”ですね。それ以外には何かありましたか。
諏訪部様:一般的な経費処理であれば、大量のデータを流し込んで一気に処理すれば効率化は可能です。ところが製薬業界の場合、取引先の領収書や請求書がそれぞれの病院や施設が持つ個別のシステムから出てくるので、扱う伝票の形式が異なります。そのため、大量のデータを一度に扱うことができません。この業務をどのようにして効率化するのかも課題でした。
中外製薬株式会社
臨床開発本部 臨床開発業務部
ファンクションマネジメントGグループマネジャー
諏訪部 徹様
——なるほど、異なる形式の伝票を大量に処理する必要があった、と。
辻本様:また、派遣スタッフは労務管理も教育も社員が対応します。スタッフの入れ替わりがあると、新しく入った人に仕事を覚えてもらうのもひと苦労です。そこで、当時派遣をお願いしていた、パーソルテンプスタッフさんの担当の方に「外部委託の道はありませんか」と相談したところ「BPO部門がある」と聞いて、検討を始めました。
——検討いただいて、最終的にパーソルテンプスタッフへの委託を決めたのはどういった理由からでしょうか。
辻本様:何度か話を聞いてみて、対応がしっかりしていると思ったからです。また、派遣の担当の方には、スタッフマネジメントを丁寧に確実にサポートしていただいていましたので、これまでの実績を信頼してお任せしました。
コア業務に注力できるようになり、業務プロセスもシンプルに
——BPOの導入を進めるうえで、どのように準備を進めていきましたか?
辻本様:議論を始めたのは2012年の年末頃からでした。いきなり業務委託すると混乱を招く可能性がありましたので、約半年間かけて準備を進めました。
——半年間かけて準備を。
辻本様:ええ。最初はスタッフの皆さんを当社が直接指導することで業務を覚えていただいたほうが良いだろうと思い、まず3ヵ月間は派遣スタッフとして仕事を覚えていただきました。その期間に、パーソルテンプスタッフさんの『業務プロセスを構築する専門部署』と相談しながら、業務プロセスの改善を検討しました。
——「経費処理の業務」から始まって、現在は大きく3つの業務を受託しています。「eラーニングのコンテンツ制作」や「システムアカウントの管理業務」などですが、BPOをさまざまな業務に広げていただきましたね。
諏訪部様:われわれ臨床開発業務部のコアの業務は、薬の開発です。社員がそのコア業務に注力できる環境を作ることが重要です。そのために、業務を棚下ろしして「コアの業務」と「コアではない業務」をしっかり仕分けて、可能なものから外製化していきました。
——“コア業務に注力できる環境を作る”ためのBPO、ということですね。
諏訪部様:はい。経理は私たちの専門ではありませんし、eラーニングも配信に関してはお任せしたほうがいいと考えました。
——BPO化する際に重視していることはありますか?
諏訪部様:業務を同じプロセスや同じ人数のままで外部委託するのではなく、効率化を図ったうえで外製化しています。パーソルテンプスタッフさんに一度業務を見ていただいて、プロセスの“見える化”をして、シンプルに変えていただいています。
——そのまま外部委託するのではなく、いったん効率化してから外に出すということですね。
諏訪部様:ええ、BPOでコストが下がるメリットもあるとは思いますが、「業務プロセスをシンプルにする」ことを特に重要視しています。
中外製薬株式会社
臨床開発業務部 臨床業務担当
統括マネジャー
廣川 恵子様
「人とシステムの組み合わせで業務を進められる点」が良い
——中外製薬様はDXにも力を入れていますよね。具体的に、どのようなことをやられているのでしょうか。
廣川様:2018年からはロボットで業務を自動化するRPAの自走を本格的に始めました。代表的な使い方は、夜中にロボットを動かして、帳票の解析から出てきたデータを必要な場所に落とし込むことです。
——独自でRPAを開発されているんですよね。
廣川様:ええ。年に数十件、多い年には100件以上のRPAを開発していて、2020年までの3年間の累計で7.7万時間以上の業務時間が削減されました。
——それはすごい。そのうちの一部をBPO業務にも取り込んで使用させていただいてますが、最近では『経費処理でRPAに置き換えられる部分』を発見して、こちらから提案もさせていただきましたね。
諏訪部様:そうでした。パーソルテンプスタッフさんのBPOの良さは、『人とシステムの組み合わせで業務を進められる点』ですね。
——ありがとうございます。
諏訪部様:全部をシステムだけで済ませようとしても、なかなかうまくいきません。その場合に「要所にスタッフをいれましょうか」と提案していただくことで、うまく運用できます。単純化された業務だけをお任せするのではなく、スタッフの配置やDXも含めて一緒に考えてもらっていますね。
——まさに、スタッフの配置も提案しますし、当社のデジタル専門部隊がRPAを開発したりもします。そうして同じ場所にいながら効率化を一緒に考えていくようにしていますね。
廣川様:私たちが動かしている臨床試験は100件以上におよびますし、ステークホルダーもたくさんいます。業務プロセスも多岐にわたるので『効率化』は、やはり重要です。パーソルテンプスタッフさんのように常駐していただいて外部委託をお願いできるのは、効率化を進めるうえで大きな強みであり、大きな効果があると感じています。
新たな目線でプロセスを変える気づきを与えてくれる
——効果を感じていただきありがとうございます。弊社とのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。
諏訪部様:社員には出社制限がありますが、BPOスタッフの一部の方には常駐していただいています。以前から毎月1回報告会を実施しており、業務ごとに非常に細かい点まで お互い確認していますので、信頼関係も構築されておりコロナ禍でも機能しましたね。
——それは良かったです。報告会では毎回時間をかけて細かいプロセスごとにご意見やアドバイスを頂いておりますね。それだけこだわってお力をいただいていることは、現場が『ご期待に応えたい』と思って頑張る原動力になっています。
諏訪部様:ありがとうございます。
——今後もDX推進とBPOの活用に力を入れていくお考えでしょうか?
辻本様:そうですね。効率化で重要なのはDXだけではないと思います。やはり、業務改善のご提案をいただける点が、BPOのメリットではないでしょうか。
——「業務改善の提案」が、BPOのメリット。
辻本様:ええ。私たち社員が見ている範囲は、あくまで製薬業界の中での考え方でしかありません。しかし、パーソルテンプスタッフさんはいろいろな業種でBPOを受託されているので、その中で製薬業界にアジャストできるようなノウハウも持っていると思います。
——弊社の実績とノウハウを評価いただき嬉しいです。
辻本様:今後も、他業種から取り入れられるものはどんどん提案していただいて、『業務のスリム化』を進めていただきたいですね。外部委託は自分たちでは分からないことに対して、新たな目線でプロセスを変える気づきを与えてくれるものだと思います。ワクワクするような提案をいただけることを期待しています。
——承知いたしました。ありがとうございます!
担当者コメント
パーソルテンプスタッフ株式会社
第一BPO事業本部 東日本セールスサポートサービス部
セールスサポート運用一課 課長
細野 誠治
「中外製薬様のご成長は、世の中に大きな影響を与えていくと思います。これからも現場の力を強めると同時に、いろいろなアイデアを出させていただきながら、ご期待に応えられるように頑張っていきたいです!」
パーソルテンプスタッフ株式会社
第一BPO事業本部 東日本セールスサポートサービス部
セールスサポート運用一課 プロジェクトマネージャー
佐々木 宜紹
「現在は2つのチームで大きく3つの業務を受託しています。臨床開発は専門性が高い業務ですが、スタッフには当社のメディカル部門で研修を受けてもらいながら、しっかりとサポートさせていただいております。」
パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。